1. |
「細胞医療の実用化と支援ビジネス」 |
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山口大学客員教授 塚原正義(キリンビール医薬カンパニー生産技術研究所) |
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これまで医師主導で行われてきた細胞医療(細胞や組織を体外に取り出し、いろいろな操作を加えた上で、患者の体内に入れることによって行おうとする治療法の総称)であるが、近年、cell processing機能を請け負うベンチャー企業が多数設立されている。加工内容は移植用皮膚・骨の再生、造血幹細胞の増殖、免疫細胞の活性化など多岐に渡り、医療上は一定の効果も認められているが、企業としては課題も多い。これら細胞医療支援ビジネスの現状や問題点を概説したい。 |
2. |
「バイオ・食品製造プロセスにおけるタンパク性汚れの付着現象と高度洗浄−実学から分子科学まで−」 |
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岡山大学工学部生物機能工学科教授 中西一弘 |
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バイオ・食品製造プロセスにおいては、装置壁面に製品由来のタンパク質が汚れとして付着残留するが、この汚れを如何に効率よく洗浄するかは、産業界での重要な課題である。一方、タンパク質の固体表面への付着現象は、生物生体工学分野の多岐にわたる共通の基礎現象の一つである。本セミナーでは、タンパク性汚れの付着と洗浄という実学的観点と、タンパク質の付着現象を、分子内の付着部位、構造変化および付着の配向制御の可能性に着目した分子科学の両方の立場に立脚して、話題提供する。 |
3. |
「細胞・タンパク質の脱水安定化」 |
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山口大学工学部/医学研究科応用医工学専攻 山本修一 |
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凍結あるいは凍結乾燥などにより、熱に不安定な細胞・タンパク質を安定化しているが、その機構は複雑であり依然として経験的に実施されることも多い。機構の解明には水分活性やガラス化および水分移動現象を考慮したモデルによる解析が必要である。一方、凍結操作を必要としない、新しい乾燥安定化方法もいくつか提案されている。これらはプロセスの経済性を改善するのみでなく発展途上国における医療支援など大きな意味があると期待されている。ここでは、安定化機構と新規乾燥方法について解説する。 |