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現在, 国民の30%はスギ花粉症などのアレルギー疾患を抱えており,対症療法ではなく根本的治療法の開発が望まれている. 花粉症の根本的治療法として, アレルゲン由来のT 細胞エピトープペプチドを用いた,減感作療法に基づいたペプチド免疫療法が提案されており, 投与方法として経口投与による免疫寛容誘導法が注目されている. 我々は, これまでにトランスジェニック鳥類作製のための技術開発を行っており, 本研究では, スギ花粉症治療のためのT 細胞エピトープペプチド (7crp)とニワトリリゾチーム (cLys) との融合タンパク質 cLys-7crp を生産する遺伝子導入ニワトリの作製を行った. まず目的遺伝子が組込まれたレトロウイルスベクターを調製後、ニワトリ発生胚へ微量注入し, 胚培養により人工孵化させることで, 遺伝子導入ニワトリを作製した. 作製したニワトリ個体において, 導入遺伝子の発現解析を行ったところ, 血球細胞での発現, また組織においても心臓において最も強い発現を確認することができた. これらの結果から, 遺伝子導入ニワトリでスギ花粉アレルゲンエピトープ含有融合タンパク質の生産に成功した. 本研究で作製した遺伝子導入ニワトリは, 花粉症治療のために有用であると 期待される.
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